ギタリストはポストロック?マスロック?エモを全て語るのに「Algernon Cadwallader」というバンドは絶対に度外視出来ない!!!
はじめに
この記事を見ている方はAlgernon Cadwallader という「エモ リヴァイバル」を語る上では絶対に外せないこのバンドを知っている方なのでしょうか?
知らない方は名前だけでも覚えて帰って貰えると嬉しいです。
僕は聴き始めた当初、全く覚えられませんでしたが、今では英語のスペルがギリ思い出せない程のレベルまで行きました笑
また、知っている方でも、エモを語る上でこのバンドが如何に重要かということをこの記事を通して認識or再認識出来ると思います。
Algernon Cadwallader
ってどんなバンド?
前置きはこれくらいで、今回はこのバンドの魅力について紹介します。
ざっくりとバンドの概要を話しますと、アメリカのペンシルバニア州のフィラデルフィアに拠点を置き、結成当初2005年はギター2本の4ピースで2008年から解散する2012年まではギター1本の3ピースとして活動していたようです。(wiki参照)
Algernon Cadwallader - Spit Fountain - YouTube
リンクの音源は聞いて分かる通り、3ピースの時期の音源です。(2009)
ジャンルはメタルになっていますが、これは本当に謎です笑笑
初見で聞いた方。
いかがだったでしょうか?
まず初めに思うのが、
「ギターめちゃくちゃテクいな!でもサウンドはドライでキリキリすんなぁ。」
だと思うんです。
おそらく、ギタリストのJoe ReinhartはGhost and VodkaやAmerican Footballあたりのポストロック、マスロックに影響をモロに受けていると言われています。
特に以下のURLは曲の入り方がかなり似てます!
American Football - Honestly? [OFFICIAL AUDIO] - YouTube
ギタリスト
Joe Reinhart の
プレイスタイル
- 変則チューニン(DAEAC#E)
- スライド、プリング、ハンマリングを多用、タッピングをすることも。
- バッキングをあまり弾かず、歌メロの裏でもメロをめちゃくちゃ弾く。
- ポストロック、マスロックのフレーズにしてはキラキラというより、「ドライでギラギラ」しているサウンド。←実はこれかなり重要で、それには理由があります。
というのが挙げられます。
軽く解説したいと思いますが、④が一番重要なので、
- 変則チューニング(DAEAC#E)
彼のチューニング自体、どのバンドに影響を受けたのかは、確信は持てませんが、
DADAC#E
(アメフトには、このチューニングの曲がいくつかあり、4弦を全音上げるとJoe Reinhartのチューニングになる)
から派生して、独自に作ったチューニングなのかもしれません。
ただし、
Snowing、
TinyMovingParts、
falls(国内)
等の後続とも言えるバンドにこのチューニングは影響を与えています。(音楽性も)
DAEAC#Eについては考察している方がいるので気になる方は以下のURLから。
エモ・マスロック系で使われるDAEAC#Eチューニングの考察 コードフォームや作曲法など | SOUNDRAWER
次はまとめて
2. スライド、プリング、ハンマリングを多用、タッピングをすることも。
3. バッキングをあまり弾かず、歌メロの裏でもメロをめちゃくちゃ弾く。
これはポストロック、マスロックあるあるだと思います。ただ、Joe Reinhartの場合、Ghost and VodkaやAmerican Football等の影響元がアルペジオっぽいフレーズなのに対して彼はメロディックとは言わないとは思いますが、ガッツリメロディを弾いてきます。しかも奏法やフレーズのバリエーションが豊かなため曲を聞き込んでも、なかなか飽きないと思います
④ポストロック、マスロックのフレーズにしてはキラキラというより、ドライでギラギラしているサウンド。
この要素はこのバンドに於いてかなり重要なものだと個人的に思っています。
「俺はただポストロックのフレーズを弾いてるんじゃねぇ。パンク、初期エモの流れを汲み取って表現してるんだ。」
という意思を感じます。
次節を読んでいただければ、納得できると思います。
バンドとしての影響元
彼らがバンド全体として影響を受けていると思うのは、元祖エモと言われる(かなりパンクに寄っているが、)そのバンドが
cap’n jazzというバンドです。
Cap'n Jazz - Little League - YouTube
このcap’n jazzの魅力としては、
- DIYの精神があること。
- USパンクの文脈を持ちつつ、エモの先駆けとなるような歌い回し、サウンドを生み出したこと。
- メンバーが解散後もエモシーンを牽引していること。(バンドの直接的な魅力ではないですが)
芸術、表現というものは文脈があるからこそ評価される対象に成り得ます。
そこで Algernon Cadwallader のメンバーは
エモというシーンの歴史に
立ち返り、
作品を出来るだけcap’n jazzのように
パンキッシュなものにすると意図のもと、
このようなギターサウンドを選んだと考えられます。
ボーカル、ベース、ドラムのスタイルはかなりUSパンクの影響を受けていますが、それに対して差別化するようにバンド全体でも
ポストロック、マスロック
に近い曲展開
を見せてくれます。
さらにはDIYの意識も高く、小さなライブハウスのような場所での、ライブ映像(以下URL)は、アンダーグラウンドに楽しさを見出せるようなステキな人達にとっては魅力的に映るのではないかと思います。
Algernon Cadwallader @ LAVA Zone | 9-30-11 | Whole Set - YouTube
エモと呼ばれるシーンについて
cap’n jazzのメンバーは様々な方向性でバンドをやっていき、2000代に入る前のエモは、「90’sエモ」とも呼称されるのですが、
グランジ、オルタナの毛色も強く、多様化し過ぎ、難解とも思え得るバンドも多く、
段々とシーンが痩せ細ってきました。
そんな中突如現れたAlgernon Cadwallader は現在でこそ、エモと呼ばれますが、そのシーンに再び火をつけ、
リバイバルという新たなシーンが出来上がりました。
その結果、リバイバル以前の「90’s エモ」のバンドを改めて評価しようという方々も居たと思います。
このようにAlgernon Cadwallader は元祖エモでもなく、エモ初期に出てきたバンドでもありません。ただ、
彼らの功績でエモというシーンが盛り上がったことは間違いありません。
後続への影響力がそれを物語っています。
そういう意味をもって、僕は現在、彼らはエモという音楽ジャンルの中心に位置しているバンドであると確信しています。
さらには最近よく聴く言葉ではありますが
「トゥインクル エモ」
「ミッドウェスト エモ」
という派生ジャンルにおいては完全に先行しているバンドと言え、今後このシーンはとても楽しみにして良いと思います。
最後に
長くなりましたが、Algernon Cadwallader の魅力が伝われば、嬉しく思います。
シーンやサウンドから客観的な評価をしましたが、結局は聴いてみて
「なんだこれ!カッケェー!」
と思っていただけるのが1番良いと思うので、CD音源や配信サービス等で聴きながら、この記事を読んで、
真の魅力に気づいて頂ければ幸いです。
- アーティスト: Algernon Cadwallader
- 出版社/メーカー: Protagonist Records
- 発売日: 2011/04/19
- メディア: MP3 ダウンロード
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おまけ
また初期の音源はギターの音が後期ほどギラギラしたサウンドではなく、比較的ウェットなサウンドになっています。こちらも良い音源で、個人的にめちゃくちゃ好きなので是非聴いてみては。
algernon cadwallader - demo 7" - YouTube